転轍制御箱

 そばな高原鉄道鉄道建設トンネル 転轍制御箱

トンネルを抜けるとすぐに線路は2方向に分岐します。この場所の分岐器を制御するユニットはトンネル内に設けますので野外用とは異なる特別なものを作りました。

(1) 制御ユニットの設計

そばな高原鉄道の分岐器は運転者自身が転轍する方式で,野外に設置する通常の制御ユニットは右図のような形です。
風雨に耐えられる防水構造で,
スイッチA(左方転轍),B(右方転轍)誤操作を避けるために 左右に離してあるので位置を視認しながら操作します。

トンネル内にこの制御ユニットをそのまま取付けると暗く狭いのでスイッチA,Bが見えにくい上,接触する危険やスイッチ操作をする際も腕が自由に動かせません。

この制御ユニットそばな高原鉄道のオリジナルの部品で私と鉄道模型(20)片開き分岐器(6)などに説明があります。

トンネル内の制御ユニットは防水構造にする必要がない点は楽ですが,暗いのでスイッチの位置が見えにくくなることや,手をあまり動かさなくてもスイッチの操作ができる様にしなければなりません。
方法として,スイッチA,Bの操作を1本のレーバーで行うことができれば使い易そうです。

そこで,左図のような制御ユニットを考えてみました。 ユニットは電気回路部分とレバー入力部から成り,トンネルの壁面に沿った横長の箱に入れてあまり壁面から突き出さないようにします。

A,Bのスイッチを構成する4個(=
2個2組)のスイッチは1ヶ所まとめます。レバーによるスイッチの入切はレバーを進行方向(x軸方向:図の水色矢印)に押すとスイッチA2個)が入り,進路右側方向(y軸方向:図の桃色矢印)に押すとスイッチB2個)が入る構造です。

通常の制御ユニットでは防水のためにスイッチA,Bを下から上に押す構造にしているので,A,Bを同時に押すことがないように2ヶ所に離してあります。
レバー式にすることで操作方向(前後方向 ,左右方向)がA,Bの選択とスイッチの入切を兼ねることになります。

(2) 制御ユニットの製作

右の写真はスイッチとスイッチを入切するレバーです。A,Bのスイッチは位置関係を調整できるようにそれぞれを別のアルミ枠に取付けています。

右側の大きい方の枠にはマイクロスイッチを押す真鍮棒(レバー)の上端を吊るし,棒の中央部でマイクロスイッチA,Bを押します。このとき,正しくマイクロスイッチ が押されるようにx,y軸方向上図参照)にL字形のガイド溝を入れてあります。

(右写真) レバーから手を離すと自重でニュートラルの位置に戻ります。確実にもどるようにレバーを吊るす位置とガイド溝の関係は真下ではなく少しずらしました。写真のニュートラルの位置でもレバーが傾いているのでそれが分かります。

制御ユニットの電気回路は野外用と同じですが,部品は木板に平面的に並べるので野外用を横長に展開した形になりました。

この端子台は裏面に 半田付けをし配線を通しますから木板に溝を彫る必要があります。この溝を電池ボックスの下からマイクロスイッチの所まで延長して彫り込み,配線を通すことにしました。配線がすっきり整理され,板の裏面に配線が出ないので防湿の点でも良いと思います。

部品配置と電池交換がしやすいことを考慮して制御ユニットの箱の形を決めました。
既製品の箱や空き箱では上手くいかないのでトタン板とアルミ板で箱の枠を作り,自動車のダッシュボードに付いていた"ある部品"を箱の蓋に加工しました。
追突時にも安全な様に適度な強度と柔軟性がある素材なので,最初考えていたアルミ板で蓋を作るよりもトンネル内のカバーに適していると思います。

(左写真)
箱の中央に単3電池4本が入り,交換のために箱は時々開けます。蓋は黒い頭のつまみ(化粧ネジ)4本で留めます。ナットは枠の内側に半田付けしてあります。

(3) 転轍機の調整とユニットの取り付け

転轍する分岐器はちょっと変わった形の鈍端トングレール分岐器(高原鉄道A形です。トンネルを抜けると直ぐにこの分岐器があります。

そばな高原鉄道では分岐器の手前2mの位置で転轍機の操作をするので,この分岐器の制御ユニットはトンネル内に設置することになります。

転轍機を動かすのは小型モーターで電源は4本の単3電池です。この電池は制御ユニット内にあるため転轍機とユニット間の配線は本数が多くなり6本(6芯コード)です。12Vと100Vの配線もユニットまで引き込むことにして電線管に通します。

(左写真) 制御ユニットを取付けてから手直しの必要がないように分岐器と実際に使用するコードも仮接続してチェックしています。レバー式にした入力スイッチも 問題なくはたらくようです。

制御ユニットをコンクリートヒューム管に取付けるのは「芯棒打ち込み式アンカー」と名前がついたものを2本使いました。
振動ドリルで所定の穴をあけ,アンカーを挿しこんで芯棒をハンマーで打ち込むとしっかり固定されます。

つい最近までコンクリートにネジ止めが簡単に出来るとは思ってもいませんでした。日曜大工でコンクリートへのネジ止めが必要になり,方法をwebサイトで調べて実際にやってみると騒音と埃は大変なものでしたが素人でも簡単でした。今回は2回目の「工事」で,31本目と32本目のアンカーボルトです。

ユニットを取り付けてみると,3mm真鍮棒はレバーと呼べる大きさではなく指先で楊枝をつまんで動かす感じです。鉛筆位の太さの真鍮棒を継ぎ足して重さを増し,操作したときにもっと抵抗感があった方が良さそうです。

それ以外に,足置き板から足先を突き出した乗客が電線管を引掛けないか心配になりました。防護カーバーを取付けるか,注意喚起の点滅灯(車輛が接近すると点滅を 開始する)が必要になりそうです。


(右写真)
トンネル出口の分岐器側から見た制御ユニットです。スイッチは分岐器通過の手前で操作しますから,操作は右手で行うことになります。

 

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