そばな高原鉄道軌条の敷設分岐器転てつ制御(表示中)

 
 鈍端トングレール分岐器

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複数の電気転轍 機と信号機とを連動さて作動させます。制御の考え方や方法は(私と鉄道模型)の中の(分岐器の 統括転轍)に記し ましたが実際の設計と製作の様子をこのページにまとめました。
そばな高原鉄道では運転者自身が転轍操作をするので制御スイッチの設置方法が設計や構造にも関係してきます。

(1) 制御回路

分岐器の転轍を行う制御回路(1ユニット)は右図の様になります。
モーターと電池,スイッチのみで構成されている単純な回路で,屋外では故障の原因になりやすい電子回路やリレー回路は用いません。
デルタ線や渡り線を構成する複数の分岐器を統括して転轍することが可能で,同じ形式のユニットを各分岐器にも取り付けます。
図の分岐器をAとするとAから左右に分岐した隣の分岐器BCにも同じユニットを取り付けます。
図中の3端子をそれぞれのユニットに接続すると,
Aの転轍操作によってBまたはCが同時に転轍されます。

図中のLEDは進路予告機のランプです。配線図を見ただけではどの様に作動するのか分かり難いですが,転轍と同時に進路予告機の表示灯も切り替えますので,モーターとLEDのスイッチを共用にしモーター回路と信号回路を一体化しました。これで機器間をつなぐ野外の配線も少しだけ簡略化されます。
この回路を思い付いた過程と基本的な考え方を
分岐器の 統括転轍に記しました 。併せてご覧下さい。〈上図の回路は該当ページ中の図6と同じ回路です。〉

 

(2) 回路の3分割と配線

制御回路はコントロールボックス,電気転轍機,信号機の3ヶ所に跨って配線しまので,回路図を実際に合わせた「実体配線図」(少し古い言葉ですが)に描き換えなければなりません。

その際,野外に設置する機器は防水対策と保守管理が楽にできる条件が必要ですから「実体配線図」はこの条件も考慮したものになります。配線を短くするよりも「蜘蛛の巣配線」(これも古い言葉ですが)にならない様に考えてみました。

下図は「実体配線図」そのものではありませんが,回路図を3ブロックに分割して実際の製作に合わせた形で回路図を描き直したものです。(元の回路がどんな形をしていたのか描いた本人でさえ分からなくなりました。)

電気転轍機と信号機との間を直接結ぶ配線コードはなく,すべてコントロールボックスを経由させています。配線は長くはなりますがコントロールボックス,電気転轍器,信号機を各々単独に取り外したり,別のユニットに交換しやすくなります。
また,屋外設置を考慮して外部電源がすべてコントロールボックスのところで接続できるようにしました。

下図 
配線図を3分割して実体配線図のように端子台に載せた形に描き直しました。接続するコードは6芯か3芯のどちらかを使用します。

 

(3) 制御ユニットの製作

コントロールボックス内に収める部品は単3電池とマイクロスイッチ,端子台などです。

アルミ板で部品を取り付ける基板を作りました。基板は平面ではなくL字形に折り曲げて部品を取り付けると,全体の形が直方体に近い形になります。
L字形にしたのは小型化できることと折り曲げた面に沿って2個のマイクロスイッチを直交させて取付け,両方のスイッチを同時には操作できない様にします。
右図 
アルミ板の形と穴開け位置です。赤印で示した取付穴は端子台とマイクロスイッチの短絡を避けるために現物合わせ にし後で開けます。
図中の
Aには端子台,Bにはそれぞれマイクロスイッチ,Cは表裏に電池ホルダーを取付けます。

下写真 アルミ板をカッ トして孔開けが終わった状態(右),L字形に折り曲げた状態(中),部品を取り付け配線をする前の状態(左)です。できるだけコンパクトにするために部品はサイズぎりぎりに組み合わせて取付け ています。ユニットを3個同時に製作して3台の分岐器を統括して転轍します。

ユニットの内部は端子台と電池が目立ちますが 苦心したのはマイクロスイッチ(押しボタンスイッチ代用)の取り付け方です。

防水と操作性がよい配置を考えた結果,ユニットの底面から上向きにスイッチを押します。
底面が開いたままでも水侵入の心配が少なく,押すだけならば手探りでも操作が可能な位置になります。

 

(4) コントロールボックスの形と支柱への取付け

転轍操作を行うスイッチを内部に入れたコントロールボックスを野外に設置するのは初めてなので,実際に作ってみて問題点を解決しながら形を決めていきます。右図:設計当初のプラン 下図:製作した形 

製作する際に主に考慮したのは次の3点です。
    ・ 暴風雨にも耐える防水容器(箱)の構造
    ・ 操作性のよい押しボタンスイッチの形と取付位置
    ・ 鉄道施設らしく見えるデザイン

そばな高原鉄道では運転手自身が進路に合わせて転轍操作をします。そのため,車輌に乗ったままでスイッチ操作がしやすい位置にコントロールボックスを設置します。
車両編成の長さやバック運転などで運転手の乗車位置も変わりますが,融通のきく位置として,分岐器の手前2m,スイッチボタンの高さをレール面から50cm,水平距離も軌道の中心線から50cmにしました。(近い方が操作は楽ですが,接触を避けるためにやや離します。)


右上図が最初に設計した形です。頭の丸い空き缶を利用した容器で,支柱から腕を伸ばしてコントロールボックスを保持します。
この形で製作してみると問題点が多く,円筒形から腕の無い箱形に変えました。たまたま廃物として譲り受けた70mmのアルミ角柱を長さ120mmにカットして蓋付き容器(箱)の形に加工してみると 円筒形用に作った制御ユニットが丁度ピッタリに入りました。


この箱 を制御ユニットの基板と一体化し直接支柱に取付けることにしたので,円筒形のタイプよりもデザインは劣りますが,頑丈で作り易くなりました。
左図
マイクロスイッチを入切するレバーの位置はA(左方分岐用),B(右方分岐用)が箱の対角線上に並び,誤操作を防ぎます。

右写真 箱の蓋はアルミ板の4辺を折り曲げただけの簡単な蓋です。この蓋で強い風雨に十分耐えられますが, もし水の侵入がある場合は調理用のラップを箱(角柱)に被せ,上から蓋をすればより完全に防げます。

 

(5) 回路の配線

コントロールボックスを固定する支柱は水道管に使われる外径22mm,内径16mmの塩ビパイプです。
このパイプの周囲4方向に(1)基板と電池ホルダー,(2)端子台,(3)電池ホルダー,(4)外箱取付け金具を配しました。

内部の配線のほとんどは端子台と4個のマイクロスイッチの間なので表からは一部しか見えません。
一方,端子台から外部に引き出される配線の数は(6+3×3+2=)17本ですが,1本あたりは細いので支柱の16mmパイプの中を通してもまだ余裕があります。

右写真
1本の支柱に部品を直付けする方法にしてみると,思いがけず1本が5役のはたらきをすることになりました。これからはこの方法を設計段階から取り入れて大いに活用しようと思います。

壊れやすい部品が1つも無く配線も単純なので内部を開けて修理する ことは無いと思いますが,電池を長期間入れた状態にしないために頻繁に中を開けることになります。
防水構造にしなければならないので, 開閉扉式にせず,外箱をすっぽり上から被せる構造ににしました。

外箱を外すのに道具を使わず,つまみネジ(黒い頭のついた化粧ネジ)2本を回して簡単に外せるようにしました。

左写真
外箱を外した状態の制御ユニットです。内部が完全に露出するので電池交換は簡単です。
アルミ板の場合,塗料の付着がよくないのが気になります。あまり触ることもない器具なので下塗り無しで直接スプレー缶の白色(アクリル塗料)と黒 色(ラッカー )を吹きつけました。
同じラッカーという名前で売られていても製造元や製品の種別で,かなり付着力に差があるようです。艶消しで非常に薄い塗膜になりましたが,かなりしっかり付着した状態に塗れました。 価格も安く,この商品を常用しようと思います。

右写真 コントロールボックスを所定位置に設置するのは先になるので,仮置きして写しました。数字の3の位置はネジ止め位置を避けて5mm下げているので, 少し下がり気味の感じがしています。

トンネル内に設置したタイプの制御ユニットはトンネル>転轍制御箱をご覧下さい。

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