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乗用車輌/客車そばな
車体の製作 乗客数の少ない個人の庭園鉄道なので乗車定員も子供4名(大人は2名)の短い車体です。楽に運搬できること,急カーブでも滑らかに回れることを最優先にしています。

(1) 車体の設計

この車輌の主要な用途は乗用ですが,レイアウト全体の雰囲気を保つためには鉄道車輌らしく見えることも必要と考え客車のスタイルで作りました。
小型乗用鉄道模型では鉄道模型の要素と人が乗る要素とを両立させるのに難しい点が多くあります。

人が乗る場合,強度上からスケールでの製作は無理ですが,細部まで見慣れた日本型客車は頑丈な構造にするとどうしても木製玩具のように見えてしまいます。

その点,外国の車輌ならば異なった視点から眺めるし模型化するのに適したデザインのものが多くあります。
そこでオーストラリアのクランダ・シーニック鉄道の客車をイメージして設計してみることにしました。(上図)
このKURANDA SCENIC RAILWAY(会社パンフレットの日本語表記に従えば「クランダ・シーニック鉄道」)は新旧数タイプの客車が1編成になっています。設計ではこれら新旧の客車の特徴を併せもったスタイルにまとめてみました。元々スケール模型ではないので,私の感じた日本型とは異なる客車の面白さを表現することにしました。

 

(2) 板材のカット

車体製作に使用した板材は厚さ15mmのラジアタパイン集成材,屋根の心材は丸く削りだすので2×12/SPF材です。床板は設けず車体下部に補強の枠木を取り付けて直接フレームに載せます。
(下図)側板,妻板,屋根心材のサイズです。図の3種の板にドア板,天井板の計8枚で本体を作ります。
屋根の断面は運転用ボギー車と同 じサイズですが,屋根の表は柔らかな素材でカバーします。
 

(3) 窓と窓枠の製作

荷重に耐えられように厚い側板を使います。板の厚さを感じさせないように窓枠とガラス(アクリル板を使用)を一体化したユニットを嵌めこむことにしました。ユニットを側板に取り付けたときの断面は右図のようになります。
  A:側板  B:アルミのジョイナー  C:アクリル板

ユニットの材料は左写真のように,縦,横4本のジョイナーとアクリル板のみです。右側は組立完成したユニットです。
「窓ガラス」にはアクリル板を使い,車内があまり見えないように「ブロンズスモーク透明」という色付です。
ジョイナーは塗装が困難なアルミなので,塗装しなくて済む様に最初からブロンズに着色されたものを加工しました。

側板の ラジアタパイン材は厚さ15mmの少し硬い集成材です。窓を切り抜くのはかなりの手間がかかります。
製作手順は,まず,車内側からトリマーで8mm彫り込んでユニットが入るスペースをつくります。次に,外側から窓を切抜きます。

(右写真)窓の切抜きが済んだ側板を車内側から見た様子です。最終的には一つ一つの窓にユニットを嵌めながら,ヤスリで窓の周囲を微修正します。

(4) 屋根の製作

屋根は椅子の座面にもなります。「硬すぎて座布団が必要」にならないように,屋根の感じもある程度維持しながら柔らかさもある素材で作ることにしました。
右図が製作した屋根の断面図です。
  A:カーペット  B:スポンジ  C:心材  D:屋根取付枠木

製作方法は椅子の上張りの仕方を調べ,真似をしてみました。

(左写真)まず,屋根の曲面に削った心材Cに鉄フラットバー(幅25×厚3mm)Eとアルミアングル(幅10×幅10×厚1.2mm)Fを取り付け ました。
車体本体と屋根板との突合せ部が柔らかいスポンジやカーペットのみでは芯になるものがなく型崩れしてしまいます。
EFはこれを防ぎます。

(右写真)クッションとして8mm厚のスポンジBを心材Cに貼りました。
カーペット用の両面テープ
でスポンジを心材に張り合わせておくと,以降の作業が上手くいきます。全面を張る必要はなく,スポンジの中央や周囲だけで十分です。

また,フラットバーEの上には加熱成形した5mm厚のアクリル板をネジ止めしてあります。 これでスポンジ部分との高さを調節します。板厚はカーペットでスポンジが押されて潰れる分を見こみ5mmにしましたが,揃えて8mmにした方がよい様です。 通常はまったく潰れません。

最後に5mm厚のカーペットAで覆います。 カーペット用両面テープで要所々々を固定しながら形を整えていきます。カーペットの妻板折り込み部分は適宜切り込みを入れて形をつくります。

仕上げはカーペットを強く張った状態で,カーペットの周囲を心材Cの裏側に留めます。 ステープルを木に打ち込む道具ガンタッカー(大型のホッチキスでも可)を使います。

金属板やアクリル板を折り返し箇所すべてに取り付けたので,カーペットを強く張ることによってカーペット周囲の角がしっかりとした形に保たれます。
(右写真) 途中まで製作がすすんでいた車体に載せてみました。
 

(5) 側板の組立と板張り模様

車体は側板と妻板,それらを接続し補強するための枠木で構成します。
どの接合部も木工用接着剤とネジを併用しての組立です。ネジの種類は表面から留める箇所はコーススレッド(長さ32mm),裏面から留める ところは頭の丸い木ネジ(長さ25mm)にしました。
コーススレッドの頭が外部から見えない様に径9mmの穴に頭を7mm潜らせた位置まで捻じ込み,穴は径10mmの木栓を打ち込んで塞いで隠します。
また,コーススレッドは割れを防ぐために下穴をあけてから留めます。

(左写真)
床板がなく,車内は完全に空間になっています。後で座席などを作って入れてみても面白いと思います。

実車の側板には板張りの縦縞があり,この感じも出してみることにしました。
方法は簡単でカッターナイフで深さ1mm位の切り込みを入れ,この線を三角ヤスリでV字型の溝に広げます。
(右写真)
実車よりは幅の広い板を貼ったのに相当しますが,線の割付の関係から10mm間隔に板貼り模様の「筋」を入れることにしました。

最後に窓の下側の帯板(2×10mmの細木)と雨樋(3×12mmの細木)を貼り付けて側板の木工は終わりです。
 

(左写真)出来上がった車体側板です。

<<次の工程は木部のみを先に塗装します。塗装後に窓枠や屋根,その他を取り付けて車体を完成させます。>>

材料費=(車体木部) ラジアタパイン集成材(1820×250×15/2枚) 3160円,SPF(2×10)材,約1000円 ,その他(端材,細木,10mm丸棒など)約400円,金具ネジ類(コーススレッド,木ネジ,鉄アングル=屋根取付用)約300円,木工用接着剤約100円分, 合計約4960円
(窓枠ユニット) アルミジョイナー(長さ2000mm,3本) 1701円,アクリル板(320×550×3mm)約1000円分,接着剤373円 合計約3074円
(屋根部分) カーペット(単価1449円/m)約1000円分,スポンジシート(500円程度/m)約100円分,その他(アルミアングル,鉄フラットバー,アクリル板)約200円 ,両面テープ(カーペット用1巻580円)約100円分 合計約1150円
塗装を除く車体部分の材料費,合計 約9434円

 

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