そばな高原鉄道軌条の敷設軌きょうトンネル仕様/設計急行 home  行き

  トンネル内の軌きょう  設 計

(1) 敷設場所の条件

トンネルは緩くカーブ していますが円筒(=直線状)のヒューム管をつないでいるのでカーブは滑らかにはならず,”多角形”のトンネルです。 一方,レールは滑らかな曲線にしたいので解決しなければならない問題がいくつかあります。( 線形についての関連事項は私と鉄道模型>隧道内の線路の形に あります。 )

トンネル内は結露やヒューム管の継ぎ目から雨水の滲み出しがありますが,直接の風雨からは遮断されています。乾燥状態のときも多いので野外としては好い条件です。

このトンネルの最大の問題点は天井が低いことです。これを補う ためにレール面をできるだけ低くすることと,保線作業に手がかからない軌道にする必要があります。

(2) 軌きょうの設計

上記の条件から,トンネル内の軌きょうは次の3点を満足させなければなりません。
 (1) 円筒内面(=凹面の「溝」) の上に,(2) レール面を低くした,(3) 耐水性のある軌きょう

これらは軌きょう単独ではなく,軌きょうを支える道床も含めて解決する必要があり,トンネル仕様の軌きょうは道床と一体化した形で設計しました。補足事項トンネル内の道床

レール
長さ15mの区間に3mアルミレールを5本つないだ,3線式(5インチゲージ,3インチ半ゲージ)軌道です。

枕木
枕木の長さはヒューム管の径,レール面の高さ,道床面の高さなどから決まってきます。標準の枕木より短めの220 mmとしました。そばな高原鉄道の標準枕木の長さは250mmです。
また,レール面を低くするために枕木は棒ではなく薄い板で,枕木2本分を1枚の板にします。この形は軌きょうが変形し難い上,レールの保持力はずっと向上します。 トンネル内では「見かけ」より実用性が大切です。この板枕木とアクリル板製の道床をネジで留めて全線を一体化するので更に強固になります。

犬釘
レールを枕木に固定する「犬釘」は枕木が薄く柔らかな材質なので木ネジ(ワッシャーヘッド10mmまたは16mm)を使用することにしました。

軌きょう
外軌の長さ3m,平均半径約40mの円形軌きょうで,一部には最小半径15mの区間も含まれます。軌きょうは全部で5個組立てます。

 (補足事項)トンネル内の道床 *1

多角形のヒューム管トンネルに曲線レールを敷設するとヒューム管の軸と軌道中心が一致しないため,図1のように軌道中心はヒューム管内で左右に移動します。このため管 の底を水平に底上げ した道床(簡単に言えば台)が必要になります。図1,黄色の箇所がこの道床です。
この形の道床はコンクリートや木材で作ると簡単ですが,寒冷地の山中では凍結と排水,防水に難点があります。コンクリートはある程度の厚さが必要で高いレール面になります。また,凍結すると剥離します。木材は湿気でカビが発生し腐朽対策など先々のメンテナンスが大変です。

そこで,アクリル板を2段構造にした道床(の役割をする台)を考えてみました。
この道床は軌道を低く敷設するための工夫ですが,価格の高いアクリル板の節約と水捌けも考えています。

図2のように,ヒューム管底が凹面であっても形状的に無理のない幅でアクリルの平板(1)をそのまま帯状に敷き,その上に枕木を高く支える役割をするアクリル板(2)を載せています
アクリルの帯板(1)が実質的な道床であり,アクリル板(2)は枕木をかさ上げし,場所によってはヒューム管にも直接載ります。これは枕木の一部とも言えます。

このアクリル板は排水を妨げず,枕木への水の浸透を遮断しています。アクリル板(1)は厚さ5mmの薄い板 ,アクリル板(2)は小さくカットして2枚重ね(厚さ10mm)で枕木の裏面にネジ留めします。

 

(3) 軌きょう/設計図 <トンネル仕様>

デュアルゲージ,3線式で長さが3000mm(5インチゲージ外軌)の軌きょうです。

カントおよびスラックは0です。

枕木は(SPF)1×4材,トンネル内径に合わせてサイズは220×89×19mmです。長さ3000mmのレールに枕木20枚(本)を使用します。
右図は枕木とレールの固定位置を示したもので,12本の木ネジ(ワッシャーヘッド)とレールとの接触点です。ネジの中心位置(ネジ穴をあける位置)は各点とも図の位置よりも1mm程度レールの外側にずれます。

 

(4) 内軌側のレールの長さ*2
(長さを切り揃えるための計算)

レールは5インチゲージ外軌,3インチ半ゲージ外軌,共用内軌の3本です。(右図)
5インチゲージ外軌を基準(L1=3000mm)にして決めます。

5インチゲージ外軌の曲線半径がRのとき,レールの長さL1,L2(3インチ半ゲージ外軌),L3(共用内軌)は扇形の相似から
 L1=3000,    L2=3000×(R−38)/R,
 L3=3000×(R−127)/R
となります。(単位mm)
注:曲線半径の大きな円軌道なのでいずれの軌きょうもスラックは0です。

 

トンネル内の軌きょう    設計(表示中)   製作

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