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 15  線路の形 (続編) 個性をもつ鉄道を目指して(2)

分岐線(Y字形)をデルタ線(▽形)

急カーブの線路は車輌通過に支障が生じる恐れがあります。

そのため,そばな高原鉄道では周回運転ができるエンドレス線(下図/左)を無理に敷設せず,地形的な条件に合わせて緩やかなカーブで回遊できるリバース線(下図/右)としました。第10話

しかし,そばな高原鉄道の車輌は多くがボギー車であり,車輪や台車にはカーブ対策が講じてあるので実際には最小半径が2mでも通過可能な車輌が少なくありません。

そこで,レイアウト全体は同一基準がよいという考え方を変え,特定の区間に限って異なる基準を導入することにしました。

これによって,条件に合う車輌については積極的に周回運転が行なえる状況になります。

発想の転換と言うほどのことではありませんが,2つの基準を設けるという考え方は周回運転が出来なかったそばな高原鉄道のレイアウトの問題点を改善 して多様性のある走行が楽しめることになります。

また,周回運転のために増設する区間をデルタ線(右図/三角形の線路)にすると列車の転向(転向/鉄道用語=車輌の向きを変える)にも利用できますから,別のメリットもあります。(余談1)
 
新線は5インチゲージの専用線で

デルタ線を増設することによって出来上がる線形は右図のようになります。実際にはY字形の線路は開き方が小さく,短い距離でつなぐと最小曲線半径が2mという急カーブで,通過できる車輌はかなり制約されます。

一方,3線式デュアルゲージの場合,デルタ線には移線器が必要になります。理由は移線器のページに記した のと同じで,3インチ半ゲージの車輌を転向させると車輪の載るレールは左右反転し,移線器によって元に戻す必要があります。

また,別の問題として3線式デュアルゲージの分岐器を2台1セットで製作する労力は通常の分岐器を数台製作するのに匹敵します。この製作も大変です。

:3線式デュアルゲージの場合,転車台,デルタ線,リバース線 ,等,転向を伴う線路では移線器が必要になります。4線式にすれば移線器の必要はなくなりますが,4線式の分岐器の製作は困難です。

そこで,より簡便な方法をとることにしました。それはエンドレス線を走行するのは5インチゲージ車両のみとし,3インチ半ゲージ車輌は必ずリバース線側を通るようにします。
このようにすると移線器は必要がなくなりますし,分岐器もデュアルゲージ用ではなく通常の5インチゲージ用と似たタイプになります。

3インチ半ゲージの車体はスケールで作っても比較的小さいので,スケールに近い車輌はできるだけ3インチ半ゲージにしようとしています。 このため,3インチ半ゲージの車輌は急曲線を走ることは前提にしていません。

一方,5インチゲージは遊びが主目的なので,安全面から短い車体で,ボギー車になっています。したがって,かなりの急カーブでも曲がることが出来ます。
そばな高原鉄道はこのような車輌構成なので新設区間は5インチゲージの専用線とすることにしました。余談2
 
2007.1.記
 
余談1*鉄道好きの小学生だったので,駅名や路線を調べて電車でそれらの駅を通ることを楽しんでいましたが,そのうちに電車や汽車で通過出来ない線路もあることに気が付きました。
この線路は東海道線から山手線の大崎に直接向かっています。品川を経由しないで東海道線から新宿回りで東北,上信越方面に貨物列車を通すための線路であることが後になって分かりましました。
ある時,大崎駅付近で山手線電車に併走して東海道線の無人客車がこの線路を走るのを見かけて・・・???・・・と思ったことがあります。(走行中の客車を見て転向に使用されるデルタ線を「発見」したわけです。私の鉄道知識は実際に自分の眼でみたことの蓄積のみで,鉄道関係の雑誌や書籍を全く読まず,知識が先行するのを好まないので,後になって自力解決することが殆どです。)
そういえば,大崎から品川に向けて南南東に発車した山手線電車が北に向き変える半径一定の急カーブは今回計画しているデルタ線と円弧の形や方位の関係までも似ています。(方位の変化は窓から射し込む真夏の日差しを避けて乗っていると地図を見なくても直ぐに分かります。)
上記のように,元貨物線は転向に使うデルタ線の一部を形成していましたが,現在はデルタ線部分を京浜東北線,横須賀線,湘南新宿ライン,山手線などの電車が走るようになり,乗って通過することが出来ます。(かなりローカルな話になって しまい生活圏が異なる方には意味不明で申し訳ありません。)

余談2*2 1つの模型鉄道(そばな高原鉄道)の範囲に限定して考えると,3インチ半ゲージと5インチゲージの違いは単純に車輌の大小ではなく,ゲージが車輌の特性を決めることになります。たとえば,忠実なスケールで作っても重量・容積・通過曲線半径などの点で取り扱いに困らないのが3インチ半ゲージですし,車幅が広く安定性がよいので遊具的に乗るのに適しているのが5インチゲージです。 同一鉄道内ではゲージの違いが車輌の性格まで規定しています。

自作軌道の良い点は自分流のスタイルで自由に線路を延ばすことが出来ることにあります。このデルタ線への転換や部分的な改良,緩和曲線などの特殊な線形,分岐器・移線器なども自前であれば思いのままに改良・交換が出来ます。 自分で描いたプランを自分の手を動かすことで実現する,模型製作の究極の楽しさはここにあります。こだわりがあればあるほど市販品からの距離が遠くなり独自のものを作ることに傾斜します。

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