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 11  小海線の橋梁

小海線は中央線小淵沢駅から信越線小諸駅まで78.9kmを単線で結ぶ高原鉄道です。途中,旧・国鉄の最高地点(標高1,375m)を通り,かなりの距離を千曲川に沿って走ります。

そばな高原鉄道の第1橋梁の設計/製作では,図や写真だけでなく実物を見てイメージをつかむことが必要と感じ調査に出かけました。小海線は国道141号線が並行しているので,橋梁を観察するのに適した線区ではないかと思います。
デッキガーダー橋(単線上路プレートガーダー3連)
断面が I 型をした2本の平行な橋桁(プレートガーダー桁)の上に直接枕木を載せた(上路)構造です。

小海線が渡る川は浅く,河床部に橋脚を造りやすいので,スパンの長い大型の橋梁でなく,構造が最も簡単なこの形式で多くが建設されているようです。

写真左:千曲川を斜めに横断する第7千曲川橋梁。国道141号線からよく見えます。

小海線の橋梁では,わずかな支間(橋台や橋脚の間の距離)の差でもガーダー桁のサイズが細かく変えられています。資材を有効に使い,質素に暮らしていた時代の鉄道建設と合理性を見たような気がしました。

橋脚は円筒形が多く,相木川橋梁では最下部が流れに沿うように船形をしています。橋脚には川の自然環境や設計者の考え方,想いまでが込められているような気がします。

橋を眺めていると堂々とした橋脚はプレートガーダー橋の美も支えているのが分かります。
写真下:左から順に第5千曲川橋梁,相木川橋梁,境川橋梁
スルーガーダー橋(単線下路プレートガーダー1連)
左右の平行なプレートガーダー桁の間に横桁を渡し,この横桁に軌道を載せた構造になっています。
デッキガーダーよりも橋桁の下の空間を広くとることができますが,ガーダー桁の間を車輌が通過する(下路)構造なので,デッキガーダーよりは横幅が必要で桁の骨組みも複雑になります。

庭園鉄道の鉄橋として作る場合,人の乗る車輌が通過できるスペースをとるために横幅をかなり広げる必要があり,形が崩れます。

写真:第4千曲川橋梁,右側部分がスルーガーター1連,左側がデッキガーター3連で架けられています。国道141号線の踏み切りに続いている橋です。
トラス橋(単線下路平行弦ワーレントラス)
下路トラス橋は台形(またはアーチ形)に組まれた鉄骨枠組みの中を車輌が通過する構造で,支間の長い長大な鉄橋の代表的なスタイルです。
縦横のバランスを崩さずに製作できたら景観的にはすばらしいものになると思うのですが,庭園鉄道の規模になると(人が中を通り抜けるため)広いスペースが必要になり,導入には困難があります。

写真:湯川橋梁,小海線では代表的な撮影ポイントになっている様で,鉄道写真では八ヶ岳をバックによく登場する橋です。国道141号線に平行しています。
小川を渡る小橋*1
農業用に使われている川(幅 ,数m)を跨いで架けられています。

小さくても石積の立派な橋台をもち,デッキガーダーの基本形を備えています。

まるで模型の様なこの橋が気に入り,製作する第1橋梁の一部に似た形を取り入れることにしました
写真:車がすれ違えない細い道の横にあり,ゆっくり観察できませんでした。
枕木とレール,桁の配置
プレートガー ダー桁に載せる枕木が長いことは知っていましたが,桁から予想以上に突き出しているので驚きました。

ガー ダー桁の真上にレールが載らず,桁の間隔は軌間よりもかなり広くなっていることが分かります。(枕木には大きな曲げの力がはたらき,長い枕木が狭い間隔で設置されています。)

これまで調べた都内や多摩川の橋梁ではほとんどがカバーで遮蔽してあったり,近くでは見ることができなかった部分なので,調査の大きな収穫です。写真:川原に下りて見上げました。
腹板と補鋼材の関係
ガーダー桁の腹板(桁の主役の鉄板)と補鋼材(腹板の上に取り付けた補強のアングル)のバランスはイメージを左右する重要なポイントです。

腹板の縦,横の比率,補鋼材(スティフナー)の太さによって,大鉄橋に見えたり,小川の鉄橋になったり,実際の大きさでなく相互の比率が大きさのイメージをつくるようです。

製作には,材料の腹板と数種のアングルを実際に並べて眺めてみないと最適な組み合わせが分かりません。
写真:枕木を載せた腹板と補鋼材(ボナール桁),線路脇の山道より
(2006.3.改訂)

(関連ページ) そばな高原鉄道の第1橋梁

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