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台車の製作

運転用ボギー車

試作した台車
模型の台車と実際の台車とではかなり走行の条件が異ります。 そこで,実際の台車の模型というよりは,実用性のみを考えた独自の台車をお金をかけないで作ってみ ることにしました。

機能のみを考えて

(1) 急カーブを楽に回り,,走りも良くしたい・・・。(車輪,車軸,ベアリングなどで走りの向上を考えてみました。)

(2) 高い重心位置の過大な荷重を支えなければ・・・。(普通の材料で頑丈に作ると四角形の折箱のような台車枠になりました。)

(3) 模型のレール条件でも脱線しては大変・・・。(レールへの追従性をよくするコイルバネの活躍に期待しています。)

市販部品の購入は避けて

(4) 出来るだけ部品は自作で・・・(基本的には実物を見ることから始める模型製作ですが,模型化するための構造や製作法には独創性も欲しいと思います。そのためには部品段階からの自作が必要と考えています。)

(5) 極力,製作費を抑えて・・・。(数多く売れず,手作り生産のため市販品が高額なのは仕方がないと思います。ただ購入する立場からは材料費だけで済ます方法がないかも考えます。また,手軽であるという理由や完成を急ぐために市販品に依存する考えはないので,製作可能な部品は時間と手間を惜しまず,積み重ねによる技術の向上も考えて安くコツコツと作ります。)

台車の設計 (上図)試作第1号の台車です。 

 

車輪の大きさ

吊りかけモーターを取付けたり,高速走行させたり別の目的があれば別ですが,低速で走る小型トレーラーなので小径の車輪で作ることにしました。

(1)小径の車輪によって重心の低い車輌にし,走行の安定性を増します。また,別の目的として,そばな高原鉄道のトンネルは天井が低いので車高を下げる手段にもします。

(2)小径車輪の台車は隣り合う2本の車軸の軸間距離を狭くすることができます。これによって曲線部で車輪がレールから受ける横圧を減少させ,フランジが外軌を擦る状態を軽減 します。(そばな高原鉄道はバックゲージを119mmとしているので,あそびも少なく有効です。)

(3)旋盤加工が容易になります。小径車輪ならば未熟な技術をなんとかカバーできます。

(4)台車枠も小型化できます。材料面,製作面,強度面,取り付けスペース等で有利になります。 大径車輪にすると,この製作に使用した鉄材のサイズを一回り大きくする必要があります。

車輪の製作

直径80mmの鉄丸棒を厚さ17mmにカットしたものを8個購入し,直径72mmの車輪に加工します。

写真 切削前の材料()と加工が途中まで進んだ車輪()です。
平岡幸三氏の名著,「生きた蒸気機関車を作ろう」が製作の教科書です。 この本を手にすることがなければ,名前しか知らなかった旋盤を使い,まともに使える車輪を自作することは出来なかったと思います。

車輪と車軸の関係(*2)

1本の車軸に付けられた2つの車輪の内,一方は車軸に固定 しません。このため,各車輪は独立して回ります。(カーブ通過時には内・外軌(レール)の長さの差に応じて,左右の車輪間に自由に位相差が生じることになります。)

この構造はカーブを踏面勾配に依存して回る方法ではないので,カーブを直線レールに近い抵抗力(ほとんどが転がり摩擦)で通過するはずです。

車軸に固定されていない方の車輪はシャフトカラーによって車輪の位置を保ちます。

車軸の製作

長さ200mm,径12mmの鉄ミガキ丸棒を4本用意し,両端を車輪とベアリングの穴に合わせて径10mmに削ります。この車軸は上写真のボールベアリング自体を軸箱代わりにして支えます。

写真  真鍮で作ったシャフトカラーをはめた車輪(左側)と押しネジで車軸に固定した車輪(右側)です。 中央はベアリングの入った軸箱です。(軸箱守も兼ねています。)

 

台車枠

ホームセンターで安く購入できる鉄材のみで作ります。したがって,限られたサイズの材料を組み合わせることになり,形や構造に制約があります。

頑丈にするために台車枠は長方形の枠組で,カーブ通過を楽にするために車軸間の距離を150mmと狭 くしています。もっと狭くすることも考えましたが,ブレーキ取り付けのスペースも必要で,この値にしました。

この形は軽便鉄道の2軸機関車の台車枠に似ているような気がします。

台車枠の製作

主な材料は鉄のアングル2種とフラットバー2種,角パイプ1種です。

アングル(6×65×65mm)材をカットしました。厚さ6mmの鉄材はかなり手強い相手です。

10mmのキリで要所 々々に穴をあけ,コイルバネを入れるスペースを作っています。写真

台車枠はすべてネジ留めにし,組立て分解を可能にします。ネジを切る箇所は全体でかなりの数になります。

 

軸箱*1とベアリング

軸箱と軸箱守に相当する部分を一体化し台車枠に固定しました。 右写真がその部分で軸箱が軸箱守と一緒にカバーされている一風変わった形です,
精度と強度が必要なこの部分を簡単に作れないかと,考えた結果です。

固定した箱の中で玉軸受をそのまま軸箱のように使います。 実際の台車ではありえないベアリングの使い方ですが,模型なら強度的に耐えられるのではないかと思います。

この「箱」の材料は真鍮角棒(8×8mm)と真鍮板で,軸受にしたボールベアリングは内径10mmの深溝玉軸受け6000ZZにしました。

 

バネの強さと大きさ

台車はレールからの衝撃を吸収し,本来は平面であるべきレール面が捩れた面になっていても柔軟に対応しなければなりません。
バネが重要な役割を果すところですが,バネに関して必要な知識が無く,ネット上で調べながら製作しました。

(1)バネ定数は輪重(=軸重の半分)と軸箱の可動範囲から決めました。人が乗ると重心が後部に偏るので前後の台車で輪重の比を計算してみるとほぼ1:4とかなりの差になります。 そこで,前後の台車でバネ定数を変えることにしました。
輪重の範囲  前輪:22〜44N, 後輪:88〜176N・・・・・車体と人の重量・重心位置から計算
バネ定数  前輪:4.4N/mm, 後輪17..6N/mm・・・・・軸箱の上下動の範囲を5mmで設計した場合

(2)台車枠の大きさからバネのサイズが制約されます。台車枠の大きさに余裕が無く,うまく収めるのに苦労しました。もちろん,前後の台車のバネは同じサイズです。
バネの長さ  21〜26mm・・・・・台車枠に取付け軸箱の上下動の範囲を5mmにしたときの長さ
バネの外径  20mm・・・・・軸箱の大きさから許容できる最大の寸法です。

(3)上記の値を満足するバネ定数を自由長(自然長),ピアノ線の直径,巻き数などから計算で求めるのは条件設定が大変です。
その点は上手くできていて,ある販売元のWebサイトにバネの規格/サイズとバネ定数,価格の一覧表があり,この表から計算することなくバネを選びました。
最終的に決めた押しバネは
自由長(自然の長さ) 30mm・・・・・長さ26mmに押し縮めた状態で取付けます。
ピアノ線の径  前台車:1.8mm,  後台車:2.6mm
バネ定数 前台車:4.3N/mm,後台車:19.0N/mm(上記のバネ定数との差はわずかです。)
価格  1本あたり,約200〜600円・・・・・購入する本数で価格は大幅に変わります。

 

仮組み立てした台車枠部分

細部の削り合わせと塗装が済んでいませんが形が出来てきた試作1号台車です。

デザインと実用性,使用する材料,構造面などを今後検討します。ネジ組立なので分解が可能であり部品の改良や交換することを前提にしています。

台車枠の中央はブレーキや動力装置を取り付けるスペースで,次の段階に発展させる余地を確保してあります。

 

製作費 車輪材料(軟鉄 黒皮丸棒を8個にカット) 6,280円,車軸材料 (軟鉄ミガキ丸棒) 約700円,台車枠材料(鉄/アングル・フラットバー) 約700円,ベアリング(深溝玉軸受け6000ZZ/8個)  1,648円
軸箱・軸箱守材料(真鍮/板・角棒) 約1,000円 コイルバネ(8個) 3,920円 ,ネジ類 約900円
台車製作費/合計 約15,200円

 

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