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  第3橋梁

  設 計

(1) 設置場所の条件  

● 第3橋梁の軌きょうは軒先からの雨落ち線の所を横断します。ほとんど濡れを感じない程度の小雨でも屋根の広い面で集めた水が落ちるとかなり湿ります。夏は朝露の雫くまで 軒先から落ちますから毎日濡れることになります。

● 冬は屋根からの落雪が軌道を直撃する場所でもあります。氷塊の混じった落雪を避けるには軌きょうを取り外すか「防雪シェルター」に入れることも考慮します。

第3橋梁を架橋した理由は上記の悪条件への対策です。通常の線路では対応が難しい条件でも橋梁は水濡れに強く,落雪の処理に向いた構造だと思います。
ただ,軌きょうについては特殊な形にすると橋梁としての景観を損なうので通常の軌きょうの強度を増す程度で作ります。
 

(2) 第3橋梁の軌きょう(基本設計)

線路の断面
製作する軌きょうは3インチ半と5インチゲージの3線軌条です。橋梁に載せた断面は下図の様になります。

橋梁部分の枕木はデッキガーダー橋で使われているタイプで標準的な形とは異なります。

橋梁に続く緩和曲線の線路  橋梁上とそれ以外の部分の軌きょうは少し形が異なりますが,橋梁上を単体の軌きょうとして分離することはしません。単純な理由ですが短い軌きょうの使用はできるだけ避けるようにしています。(余談1)

この箇所もレールを切断せずに橋梁上と接続部分とを一体化した軌きょうとし,円形−緩和曲線−直線(橋梁)−緩和曲線 −円形の線形でつくります。

製作する第3橋梁付近の線路概略図

橋梁上は直線区間なので通常の作り方ですが,緩和曲線部は上図の線形になるように枕木の間隔と線路の形に記した 製作方法です。

曲線部の外軌の犬釘間隔を77mm(=そばな高原鉄道の基準値)に統一していますので,この緩和曲線部も外軌側を77mmにして製作します。

5インチゲージの外軌Aと内軌Bとの関係 は右図の扇形で示されます。
図から半径R〔m〕の曲線部での内軌の犬釘間隔〔mm〕 は比例計算で求められます。製作に使うR/の関係は以下の値です。

   半径R/間隔R=∞/ℓ=77 20/76.5 15/76.3  10/76.0  8/75.8  7/75.6 6/75.4

間隔は77mmに比べて僅かな違いですが,数本先の犬釘まで累積されると大きな値になります。
緩和曲線を何本の枕木の区間で設けるかは現物合わせで決めます。(1本あたりの数値を算出をしておいて細部は作るときに詰めます。)
緩和曲線の末端(半径20m)と直線部(半径=∞)の接続は枕木間隔で0.5mmの差(上の計算参照)であり,誤差の範囲なので完全に滑らかな接続になります。

枕木のサイズと樹種 実際の橋梁で使用されている枕木は通常のものより長く,断面も大きなものが使用されています。また,枕木間の間隔も狭くなっています。

第3橋梁でも現物の橋梁に合わせて枕木を大きくし,実際の枕木の1/8.4の寸法を元に,長さは333mm,太さは25mm角,枕木の間隔は65mmにします。橋梁上の枕木の本数は橋桁の全長が1521mmなので23本(計算:1521≒1495=65×23になります。

枕木の樹種は水に強い条件が特に重要なので最強と思われるものの中からイペを選びました。
イペは非常に硬い木で船の甲板や桟橋にも使われ,模型鉄道の枕木としても無塗装で長期間の雨曝しに耐えると思われます。

犬釘の代わりにネジ使用 線路の「美観」を重視 して通常はレールの固定に犬釘を使用しています。第3橋梁は他の所に比べて頻繁に水濡れするので犬釘では錆びやすいこととレールの保持力の強さ,メンテナンスが楽な点から座付きネジにします。
これまで高原鉄道ではネジ止めにした箇所は,暗くて見えないトンネル内の軌きょうと保持力を要する分岐器の一部のみにしています。

軌きょうの固定 枕木は橋桁に直接載せます。枕木の固定に使う金具は枕木2本を1組にし,3箇所で橋桁にネジ止めします。

余談1 急カーブの多い模型鉄道のレールでは継ぎ目部分がトラブルを起こしやすい場所になります。
軌きょうの製作では継ぎ目部分で3本のレールの長さを揃えるため,最短の1本に合わせて長い2本は切断することになり 無駄(端材)が出ます。
継ぎ目1ヶ所当たり,継ぎ目板6枚,ネジ12本が必要です。短い軌きょうを多数つなぐとジョイントの部品 を数多く必要とします。また,軌きょうを道床に固定する箇所(アンカーボルトでコンクリートに固定)も増えます。
本物の鉄道同様にロングレールは模型鉄道でもメリットがあり,レールを短く切らない敷設を心掛けています。
継ぎ目は風物詩にもなるジョイント音を出しますが,メカニズム的にはエネルギーロスや衝撃によって発生する「警告」音でもあります。 レールの継ぎ目の数は少ないに越したことはないと思います。

 

第3橋梁の軌きょう 設計



設計製作