急行  home  行↓

EB10形 電気機関車

  7  塗 装

近の電気機関車は貨物列車のけん引が主な仕事になり身近に見る機会が殆ど無くなりました。それだけにこの機関車は電気機関車全盛期の塗色で再現することにこだわりました。

塗装の前に

電気機関車の実車がどのように塗装されているのかを調べてみました。これまで電気機関車を細かく観察する機会もありましたが形や構造に目がいって,塗装についてはほとんど気にもしていませんでした。今回は東京近郊に静態保存されているEB10形機関車とED16形機関車の実際の塗装を調べ,塗色や塗り分け方の参考にすることにしました。

(1) EB101 電気機関車 東京都府中市矢崎町 府中市立交通遊園(内)

(園内案内板/説明文より) EB101は昭和2年に蓄電池機関車AB10として東京芝浦電気株式会社(前の芝浦製作所)と汽車会社によって製作され,日本国有鉄道で初めての蓄電池機関車として東北本線の王子・須賀間の貨物輸送に使用されたものです。

当時,同貨物線の付近には,危険物が貯蔵されていたため,火気をさけるため蒸気機関車にかえてこの蓄電池機関車が採用されたものでありますが,昭和6に同線が電化されるに伴いAB10は電気機関車に改造され,現在のEB10形EB101に改められ(戦災を免れ戦後の25年間を経て)昭和46年1月まで44年間にわたり貨物輸送の電気機関車として活躍してきました。

その間,全国的に電化が進展し,電気機関車は大形化されましたが,EB101はその中にあって独特の凸形車体で国鉄最小の電気機関車として,とくに鉄道ファンの人気を集めています。
(以下,略)
 
(2) ED161 電気機関車 東京都青梅市勝沼 JR東/青梅鉄道公園(内)

(園内案内板/説明文より) ED16形式は昭和6年に開発され,18両製作されました。

現役の機関車としては国鉄最古の形式で,当初は中央線 八王子−甲府間,上越線 水上−石打間などで活躍しましたが,昭和40年以降全機が立川機関区に終結し,南武線・青梅線を主体に貨物輸送の主力となって,半世紀の永きにわたり活躍しました。

このED161号は昭和55年9月末まで使用されましたが,10月の時刻改正により現役を退き,昭和55年10月14日準鉄道記念物(42番目)に指定されました。
 
塗装下地材の吹き付け

下塗りにミッチャクロン(商品名)を吹きつけました。

真鍮は塗料が剥げやすく下塗りが必要ですが,どのような密着剤が良いのか分かりません。鉄道模型店なら適した商品があると思い近くの模型店に行ったところ,模型用の商品ではなくホームセンターにある「ミッチャクロン」を勧められました。

初めて聞く名前でしたがこの店では下塗りをすべて「ミッチャクロン」にしているとのことでした。

ミッチャクロンは非鉄金属やプラスチックにも密着するプライマーで,アルミや硬質プラスチックなどの塗装も楽にできるようです。

塗装が上手くいかなかったこれらの素材の塗装が容易になれば塗装面の問題が解消するので積極的に製作に取り入れられます。
エアブラシによる塗装(1)

ミッチャクロンの使用だけでなく,エアブラシはこの機関車の塗装で初めて使用する器具です。

これまではすべてスプレー缶の中から色を選び塗装していましたが,数の多い自動車用を含めても色の数に限界があります。

国鉄機関車の色など代表的な色は調色塗料(ラッカー)が市販されており,これらの中から色を選びエアブラシで吹きつけることにしました。

上写真 エアブラシでの塗装がどの様になるのか,テスト的な意味も込めて異なる材質,形状のものを集めてきてはじめての吹き付けをしました。

分解できるところは分解し,分解できない部分は隙間への浸透状況も調べました。写真はミッチャクロン2度吹き後で薄い塗膜が光を反射しています。ニス塗りの様な感じになりました。
ボディの塗装

色は濃い焦げ茶色(=旧国鉄のぶどう色1号)にしました。記憶では,戦前の省線時代から戦後の国鉄まで,電気機関車や客車の色は今よりずっと黒に近い =ぶどう色1号でした。

その後,車輌の色は少し明るい茶色のぶどう色2号に塗り替えられ,見慣れた色はぶどう色2号になりました。

ただ,EB10形が主に活躍していた時代の色といえば=ぶどう色1号です。

山手線,渋谷駅のホームから貨物線を走り抜けるぶどう色2号に塗られた機関車を初めて見たとき・・・?,妙に赤茶けた色の変な電気機関車?・・・,私鉄の 機関車・・・
 ?? かなりの違和感がありました。
その後,電気機関車も様々な色に塗られる時代になり,今ではぶどう色2号は「格式の高い電気機関車の色」と感じるようにもなりました。

ぶどう色1号のラッカーの入手先は「日光モデル」東京/荒川区東日暮里です。艶消しを加えてブリキ玩具のような光沢がでないようにしました。

(右上写真) これまでラッカー塗装する際は色数の多い自動車用のスプレー缶を中心に色を決めていました 。
エアブラシの吹き付けにすれば調色塗料の中から色を選ぶことができ,目的の色を探す苦労をしなくて済みそうです。
エアブラシは入り組んだ微細な箇所でも塗り残し無く薄い塗膜で綺麗に塗装できます。この様な所をスプレー缶で塗装すると様々な方向から塗料を吹きつけなければならず,塗膜が厚くなって細い溝などは埋まってしまいます。

一方,エアブラシは塗料の噴出量が少ないので車体の広い面の塗装ではスプレー缶の様に手早く作業を進めることができません。

(左上写真) 前照灯と取付け金具の細部まで塗料がまわりました。半田付けの跡が分かるほどの薄い塗膜ですがミッチャクロンの効果があるようで付着状態は良好です。
シャーシの塗装

シャーシと床下部品はすべて黒色ラッカーの塗装です。ホームセンターで購入した缶入りのラッカーを吹きつけたところ塗膜が厚くなり艶が目立ちます。

シンナーの加え方が足りないのが原因かと思い追加して噴き続けると、こんどはエアブラシが目詰まりして長時間連続して噴けません。

どうやら希釈に使用したシンナーではラッカーが十分に 薄まらず塗膜が厚くなったり、目詰まりまで起こすようです。より希釈力の強いシンナーに変えてやっとうまくいくようになりました。

試しにスプレー缶入りの艶消しラッカーで吹き付けてみるとずっと綺麗な仕上がりになります。ラッカーの選択と薄め方のコツが分かってこないとエアブラシを使っても上手くいかない様です。
 エアブラシによる塗装(2)

ラッカーと言えば色が違うだけで一律に同じ性質と勘違いしていました。エアブラシでは商品によって噴き付け方を変えないといけないようです。

シンナーも同様でラッカーを薄める目的と洗浄目的では違うものを使わないとエアブラシではうまくいきません。

スプレー缶では気にしていなかったラッカーやシンナーの性質だけでなく,希釈についても細心の注意が必要です。エアブラシは経験の積み重ねが足りないと思うような出来栄えにはならない器具のようです。

写真 平板,円筒,針金などの形状や材質,表面の仕上げによってエアブラシに向かないものもあります。塗膜が薄いためか肉眼では区別がつかない「黒」でも写真ではそれが分かります。黒はスプレー缶の色で間に合うので,広い板面ではスプレー缶も使用したほうが楽に塗装できます。

エアブラシの塗膜は薄く,ミッチャクロンへの付着も良いようです。軸箱と軸箱守の摺動部に吹き付けた塗膜が簡単には剥げずにスライドしたのには驚きました。
 

次の行き先駅を選択してください

EB10形電気機関車  7  塗 装

5体小物 6下小物 7表示中 8 9


XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX