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〈第1話〉 ゲージ
との出会い
現在は鉄道模型は買うのが普通になり,多くの人が手軽に楽しむことが出来ますが,当時の鉄道模型は自分の技量に合ったものを自分で作ることから始まりました。 初心者が製作可能なゲージは日本型(狭軌)車輌のOゲージだけで,販売されている部品を組み合わせてよく走る模型に仕上げることが目標です。完成して実車のイメージに近かければもう大満足です。 |
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〈第2話〉 ゲージ
の「壁」 Oゲージ全盛の時代から時が経ち,軌間3インチ半(89mm)ゲージと5インチ(127mm) ゲージの3線式鉄道(そばな高原鉄道)を建設することになりました。 実際の鉄道景観をレイアウトに再現するには3インチ半ゲージか5インチゲージのどちらか一方を採用する方が良いのですが,双方にそれぞれ長所があり,それらの長所を併せもつ鉄道にしたい事と以前に作った3インチ半 ゲージの機関車を走らせる目的で,3線式デュアルゲージにすることにしました。 このことは大きさの異なる2種類の車輌が同じ線路上を走ることになり鉄道としての一体感を損なう心配もあります。 特に車体の大きさについての思慮が足りず,3インチ半ゲージの機関車に5インチゲージの乗用客車を牽引させるという粗雑なプランで建設を進めてしまっています。(3インチ半 ゲージと5インチゲージの車体の断面は図 1 のような感じになります。)
計算上では3インチ半ゲージ車輌と5インチゲージ車輌の車幅の比は(軌間の比に比例するので)89:127≒1:1.4 となります。 |
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〈第3話〉ゲージに隠された「からくり」
Oゲージ/ED19型機関車(第1話の写真)の実車が静態保存されていることを知り,晩秋のある晴れた日(実は誕生日)に見学に出かけました。 初めて見る実車なのにナント「見覚えのある」車体です。もちろん,Oゲージの模型が特徴を捉えていたからですが・・・・。 この機関車のサイズを調べ模型との値を比べてみました。下表はその一部です。(単位:mm,下段に標準軌の数値も追加して記してあります。)
軌間を1/33とした「からくり」はごく単純で,表中の32の欄でお分かりになると思います。 補足2 狭軌の軌間を忠実に1/45にすると, 1067×(1/45)=23.7mm のレール幅になります。32mmになるようにED19は台車部分だけを幅広にしています。簡単に言えば車体を狭軌,台車とレールを標準軌の大きさ(幅)にしたわけです。・・・山形(新幹)線がこのスタイルになっているようです。 このように車体と軌間を異なる縮尺にすると外観が実車と変わるので,軌間の縮尺比を車体にも適用(OゲージのED19では縮尺比 を 1/33)すれば実車と相似形になります。この方法でスケールに戻すのを「第2のからくり」と呼ぶことにします。 ところが,ここで問題が生じます。一例として新幹線(標準軌で車幅は3400mm)とEB19型電機(狭軌で車幅2700mm)の模型をこのやり方で作ってみると・・・・ 新幹線の車幅:3400×(1/45)=76mm EB19の車幅:2700×(1/33)=82mm 標準軌を走る大きな車体の新幹線よりも,狭軌で小さな車体のEB19の方が(軌間を揃えて)模型にすると大きくなる逆転現象が起こってしまいます。(上表のED19の車幅が61mmから82mmになるのですから かなり大きくなります。) 一般的に狭軌車体の縮尺比を軌間の縮尺比と同じにすると,本来の車体幅が何倍になるのか計算してみました。(計算の前提に,実車の車幅は標準軌,狭軌とも軌間に比例するものとします。) 「第1のからくり」の関係より となります。また,実車の車体幅の縮尺比をNからnに変えた(「第2のからくり」を行った)ための車幅の変化の割合Bは 上の(1),(2)式より B=(n/N)=1435/1067)=1.3 となり,「第2のからくり」を行うと本来の大きさより1.3倍大きくなります。(標準軌と狭軌の車体の大きさ を逆転させる原因です。) |
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〈第4話〉 異なるゲージを「融合」する 狭軌の車体をスケールで作ると標準軌車体より大きくなる。〈第3話〉・・・という 「第2のからくり」は直ぐに別のアイデアに結びつきました。 それは,大きくなった狭軌3インチ半ゲージの車体は標準軌5インチゲージの車体の大きさに近付くのではないか・・・と言う考えです。
(1) 3インチ半/標準軌車輌の車幅をDとし,(第1のからくりによる)3インチ半/狭軌車輌の車幅をdとします。
(2) 5インチ/標準軌車輌の車幅は,車幅の増加率 (3) 3インチ半/狭軌車輌の車幅は,(第2のからくりで修正した後 は)車幅の増加率 B=1.3より,1.3d となります。〈第3話参照〉
(4) 車幅D,dの3インチ半車輌を基準にして,3インチ半/狭軌車輌を製作すれば1.3dとなり,5インチ/標準軌車輌を製作すれば 1.4D となることが分かりました。 もし,1.4D=1.3d ならば, 5インチと3インチ半のスケール車輌が同じ大きさになる。 ことになります。これで異ゲージを「融合」する展望が開けました。
(5) Dとdとの違いは実車の大きさの違い(新幹線は大きく,在来線は小さい)を正確に反映しています。したがって,D>d であることに全く問題はありません。
以上が実車の見学から思いついた「融合」の方法ですが,私の考えた通りの筋道で書きましたので説明が長くなりました。結論は短く一言です。 |
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上の説明をもっと簡単に確認していただこうと図解してみました。 (1) 下図で,左側に四角形で示した標準軌1435mmと狭軌1067mmの車輌があります。(枠内の数値は軌間です。) (2) これらの車輌を,標準軌は1/11.3に縮尺すると127mm(5インチ ゲージ),狭軌は1/12にすると89mm(3インチ半 ゲージ)になります。( 確認の計算:1435÷11.3=127,1067÷12=89)
図中のA,Bは〈第2話〉,〈第3話〉の車幅の増加率の関係を参考のために記してあります。 (3) 縮尺の数値1/11.3 と1/12 とはほぼ同じ大きさの値です。偶然,このように好都合な数値になっているので,これを利用して以下の結論が得られます。 |
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(結論) 標準軌車輌を5インチゲージ,狭軌車輌を3インチ半ゲージで製作すると(ほぼ同じ比率の縮尺なので)車体の大きさの関係は実車の関係がそのまま維持されています。 したがって,車種別(標準軌は127mm,狭軌は89mm)にレールを分離して連結した状態は,実際の車輌 を連結した状態とほぼ同等の関係になり,理想に近い形で「融合」 が実現できると考えられます。 |
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余談1
「鉄道模型」と「鉄道玩具」を無理に区別することもありませんが,模型を「自分で作る人」ははっきり区別していると思います。
手作り中心のOゲージ車輌では読み取ることができた製作者の個性(意図や視点)が鉄道模型の世界から消えつつあるような気がします。 「買う」と「作る」では異なる要素があり,買って他人と同じ物/鉄道模型を持つことはできても,自分独自のイメージを創ることは困難です。多様性があるのが趣味の特質なので自作がすべてではありませんが 「作ること」への関わりがある中で自分の表現したい鉄道模型の世界が創りだされます。「模型」と「玩具」に異なる点があるとすれば精密さや見た目ではなく製作者の存在が関係しているのかも知れません。 ゲージを「融合」しようという発想は枠の中で定型化されてしまっている市販品に頼らず,模型ならば自由に自作したいという考えから生まれたと思います。私にとっては3インチ半も5インチも自分の作品を走らせる場であり,ゲージの枠を取り払って一体化できないかと考えてみました。
余談2
大型鉄道模型は3インチ半ゲージから5インチゲージへとより大型化の傾向にあるようです。しかし,自作模型を楽しむ目的の小さな庭園鉄道には5インチゲージ日本型狭軌車輌は巨大過ぎると思います。 (2007.1.記) |